コオーディネーショントレーニングを学ぶために、はじめてライプツィヒを訪れたのは2016年のこと。コオーディネーショントレーニングに衝撃を受けたのは今でもよく覚えています。
トレーニングのみならず、教育や文化にも触れ、知れば知るほど日本の良い面・悪い面が浮き彫りになったように思います。
*完全に個人の主観ですが
今回は、日本とはまるで違うドイツの教育制度についてお話していきます。
日本とドイツの教育システムの違い
日本では、
小学校 6年
中学校 3年
高 校 3年
が教育の一般的な流れかと思います。
その後、進学or就職へとコマを進める人がほとんどです。
日本に生まれ育ったら、何も考えなくても大枠のレールは敷かれています。
大きな問題がなければ、何の心配もなく卒業できます。
しかし、ドイツは違いました。
*文部科学省HPより引用
ドイツの小学校は4年間。
Grundschule(グルンドシューレ)という基礎学校が日本でいう小学校に当たります。
*1年生から留年なんてこともあるよ
*留年や落第が悪いこととは考えてないよ
6歳で入学して、卒業する10歳で子どもたちは将来進む道を選びます。
10歳にして人生の方向性を決めるのです。
*人生の分岐点
主に、下記の3つから選びます。
*日本のように簡単には進路変更できません
Gymnasium(ギムナジウム)・・・エリートコース(大学進学)
Realschule(レアルシューレ)・・・専門職コース
Hauptschule(ハウプトシューレ)・・・就職コース
ギムナジウム
ギムナジウムに行く最大の目的は、大学進学の権利を得ることです。
人生の方向性を決めるだけでいいかというとそれだけではなく、実は、ギムナジウムは入学すること自体が難しかったりします。
何と、4年生時の成績が良くないとそもそも入れないのです。
入れたとしても油断はできません。授業についていけなければ留年は当たり前。成績次第では、ランクの低い学校へ移動なんてこともあるようです。
そして、卒業試験がこれまた大変。
卒業試験というと、日本では区切りやおしまいを意味しますが、ドイツでは卒業試験がスタートです。
どういうことかというと、ギムナジウム卒業の13年生の卒業試験は、日本でいう大学入試のようなもので、Abitur(アビトゥーア)と呼ばれています。
*共通テストのようなもの
実はこれ、1回しか受けることができないんです。
*成績次第で入れる大学・入れない大学が決まる
もう1度言います。
1回しか受けることができないんです。
だからみんな、必死に勉強します!!!
ライプツィヒで訪れたスポーツギムナジウムも例外ではありません。
日本だと、「野球部は毎日朝練があるから授業中寝ていても仕方ないよね」ということが暗黙の了解としてあったりなかったりしますが、ドイツでは、「勉強出来ないものスポーツするべからず!」的な感じです。
*スポーツだけできればよいわけではない
ギムナジウムに進む人は、将来的に医者や弁護士、教授、プロスポーツ選手になる人が多いようです。
レアルシューレ
レアルシューレは、将来専門的な仕事に就きたい人が行く学校です。
日本でいう商業高校や工業高校に進みたい、トリマーになりたい、警察官や公務員になりたいなど、専門職を目指すために専門の高校・大学への道が開かれています。ごく一部、アビトゥーアの資格を得ることができます。
ハウプトシューレ
ハウプトシューレは、卒業後はすぐ就職!という人が行く職業訓練学校です。
卒業後は、販売員や工場労働者、職人として働く人が多く、マイスターの資格を取る人もいるようです。また、一部は職業専門学校の道へ進む人もいるようです。
昔は職人を目指す学校だったようですが、最近では外国人や移民向けの学校という認識になっているようです。
ゲザムトシューレ
実は、もう1つ選択枝がありました。
「10歳で進路なんて決められないよ」という人のための総合学校がゲザムトシューレです。
この学校の成績優秀者は、アビトゥーアが得られます。
シュタイナー学校も、こちらに分類されるかと思います。
年齢で区切る日本、実力で決まるドイツ
6歳で一斉に小学校に入学し、6年間で小学校を卒業。中学校も赤点を取ろうがなんだろうが3年で卒業。高校でさえも留年は稀な日本。
小学1年生と言えば6歳だし、中学1年生と言えば12歳が当たり前。
しかし、ドイツは違います。
*年齢で区切ってないよ
そもそも、小学校入学が6歳じゃなくて7歳なんてことも大いにありえます。
ドイツでは、小学校に入学する子どもたちに、ドイツ語の授業についていけるかどうかの簡単なドイツ語テストが行われるそうです。
ドイツ語が不十分な場合にはドイツ語の補習授業があったり、幼稚園や保育園では、小学校に入学できるレベルのドイツ語を習得できるよう働きかけてくれます。
その他にも、家庭の事情で1~2年遅れて入学する子や、稀ではありますが、逆に早く就学する子もいるようです。
留年についても、能力が達していなければ躊躇なく留年となります。
本当か嘘か定かではありませんが、3回までなら落第できるという話も聞いたことがあります。
日本では、留年は恥ずかしいこととして捉えられがちですが、ドイツでは、子供のペースでいいよねという考え方の方が多いように感じられます。
ちなみに、ギムナジウムをストレートで卒業できる人は6割程度。
というわけで、1年生が6歳だったり7歳だったり8歳だったりするドイツでは、1学年~13学年という呼び方をしています。
年齢を気にする日本人が多いことや、年齢を気にしないヨーロッパ人が多いことは、このあたりのことも影響がありそうですね。
努力すれば報われる!?
日本では、「頑張ればできる!」「努力すれば誰でもできるようになる!」という考えが根強いように感じます。
高校受験で希望校に合格できなくても努力次第で大学受験に合格したり、大学受験で数年越しに希望の大学に入学できたりなんて話も耳にします。
努力は報われる!と思う一方で、得意を伸ばす方が良いのでは!?と考える方もいるでしょう。
何が正解で何が間違いかはわかりません。
ドイツのように、生まれ持った才能にベットするのも1つの方法かもしれません。
しかし、アンパンマンのやなせたかしさんのように、遅咲きの人がいるのも事実です。
記事を書いていて感じたこと
得意なことも苦手なことも努力を積み重ねることが良いのか、苦手は早々に諦めて得意に集中した方が良いのかはわかりませんが、、、
自分で選んだことをやり抜くことが大切なのかなと感じます。
そういう意味では、10歳で決断を強いられるドイツの子供たちは凄いと思う反面、酷な気もしますが、日本人のように(人にもよりますが)大学生になっても社会人になっても「やりたいことがわからない」ということも少ないのかなと思ったりします。
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