やってみよう!

【必読:エコロジカル・アプローチ】「教える」だけなら誰でもできる、「教えない」指導は圧倒的に伸びる!

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知り合いのサッカーコーチの間で話題になっていた本『ECOLOGICAL・APPROACH』。

何やら良さそうなので、読んでみた。

結論、運動指導に関わる全ての人は、今すぐ読んだ方がいい!

運動と言わず、学校の先生や保育士さん、プログラミング教室やピアノ教室など、子供と関わる人は読んだ方がいい。

そして、子供にとって一番身近な存在の保護者の皆さんも。

更には、運動指導を受けている方も指導者の選択ができるように読んだ方がいい。

何なら、今すぐポチッた方がいい(笑)

はじめに

エコロジカル・アプローチとは、「運動学習・スキル習得」理論(運動学習理論)であることをお伝えしておきます。
そして、それに基づく教え方を制約主導アプローチと呼んでいるそうです。

また、この本では度々「コーディネーション」というワードが出てきますが、コオーディネーショントレーニング理論との関係はなく、英単語のcoordination(調整・調節・協調)の意味で用いられています。

教える指導・教えない指導

人と環境の相互作用の中にスキルが存在すると考える、エコロジカル・アプローチ。

環境??
相互作用???

初めて聞いた人は、きっと、「?」しか頭の中に浮かばないですよね。

エコロジカル・アプローチを説明する前に、それとは対照的で馴染み深い伝統的アプローチについてお話していきます。

伝統的アプローチとは、私の訳では「教える指導」です。
*一から十まで教える指導

例えば、バスケのレイアップシュート(ドリブルシュート)。
*体育の授業を思い出してください!
①お手本を見せる
②ドリブルの練習をする(手に吸い付くように)
③ステップの練習をする(右足からイチ・二・ジャーンプ)
④通してやってみる(ジュート時ボールは優しく置いてくる)
⑤ひたすら練習する

まずはイメージして、階段を1段ずつ上るように1つずつ課題をクリアして、あとはひたすら反復練習。そう、日本の学校教育に代表される指導方法です。

それに対してエコロジカル・アプローチは、
・ドリブルしてきて、あのカゴに入れよう
(両手で持っていいのは2歩までね)
こんな感じでルールを制約します。

ドリブルができないくらい小さな子なら、
・ゴールを低く設定して
・走ってきてボールをカゴに入れるんだー!
といった具合でしょうか。

手と足がどうのこうのとか、左手は添えるだけとか、細かいことは一切口にしません。

カゴにボールが入ればいいんです!

そして、大体できるようになったら、別の制約を与えます。

これを、私は「教えない指導」と呼んでいます。

数多くの競技、数多くの研究で、制約主導アプローチが他の運動学習アプローチよりも優れているとの結果が出ているんだって。
*詳しくは本を読んでね

教えない運動教室

ちょっと脱線しますが、KTラボ運動教室では「教えない」ことを意識し、運動能力が高まる提案をし続けています。

実は、エコロジカル・アプローチの考え方は、コオーディネーショントレーニング理論で言う帰納法にあたります。

クラスでは、走り方やボールの投げ方、蹴り方など、正しいフォームは教えていませんし、縄跳びやマット運動などの反復練習もしていません。
*正しいフォームって何ですか?

でも結果として、
・運動会で1番だった
・リレーのコーナリングが他の子よりも上手でビックリした
・ボール投げが段違いで上手いと保育園の先生に言われた
・何をやっても勝てなかったライバルに勝てた
・ずっと受からなかったスイミングの進級テストに合格した
・○○選手権で優勝した
など、たくさんのご報告をいただいています。

正しく正確に VS 柔軟な対応

規則正しくとか、一糸乱れぬの代表としてイメージしやすいのは、マーチングバンドや軍隊の行進でしょうか?

ピタッと決まったフォーメーションを見るたびに、ただただ凄いと思います。
*血のにじむような努力がきっとあるんだろうな

一方で、同じ集団行動でも、群れを成して飛ぶ鳥や魚の大群には、違った意味での凄いを感じます。
*語彙力が乏しくてすみません

どちらも集団で動くことには変わりないのですが、大きく異なる点は、決まったルールがあるか否か。

コレ、大事なポイントです。

目的にもよるので、一概にどちらが良い・悪いとは言えませんが、個人的には、得点を取ったり、綺麗に魅せたり、目まぐるしく変化する状況の中でスポーツで勝つためには、フォームありき、フォーメーションありき、正解ありきでその道へ進む(スキルを追い求める)のはどうなのかな?と疑問に思います。

疑問に思うようになって、私自身、練習法・指導法が変わったのは、コオーディネーショントレーニング理論を理解してからです。

そして今回、エコロジカル・アプローチの本を読んで、更に理解が深まりました。

正しいフォームってなんですか?

ボールの投げ方や各種フォームって、一体何が正しいの?

こんな疑問を持ったことはありませんか?

野球界には、大谷選手やダルビッシュ選手、佐々木選手、伊藤選手、ピッチャーだけでもたくさんの選手がいます。みんな超一流の投手だけど、誰一人として同じ投球フォームの人はいません。

私たちは、何を正しいフォームとして、誰を目指しているのでしょう?
*私自身もスキーの練習でアレコレ細かい点ばかり気にしていたけれど

これまで伝統的アプローチで学んできた多くの日本人は、お手本とされて見たものや、これがいい!と言われたもの、自分の好きな選手のフォームを正しいフォームや正解と認識しています。

伝統的アプローチで学んだ先は、最大でもイメージしたものに近づくことです。

でも、当たり前ですが、人間は1人1人手足の長さも違えば、筋肉の付き方や筋力、柔軟性も違います。

つまり、正しいと思っているフォームを習得することは困難なのです。

制約主導アプローチのメリット・伝統的アプローチのデメリット

エコロジカル・アプローチ(制約主導アプローチ)では、個人・タスク・環境の3種の相互作用により、制約をデザインすることでベストへと導くと考えます。

<エコロジカル・アプローチの考え方>
個人制約・タスク制約・環境制約の3種類が互いに影響を与え合う(相互作用する)中で、人の運動は形成される。制約を変えながら制約により運動学習を主導するという考え方。

個人制約とは

身長・体重、柔軟性、ストレングス、運動の癖など。

タスク制約とは

コートやルールに制約を設けること。
例えば、テニスコートのセンターラインをずらして対角エリアにリターンする、サッカーでシュートはクロスボールにだけ合わせるなど。

環境制約とは

グラウンドの状況(天然芝、人工芝、土、コンクリート)や天候(晴れ・雨・雪)など

◇実践例
ぬかるんだグラウンドでのサッカー(環境制約)
パスがうまく通らない
→それでもパスを通そうとすれば状況に応じた力加減やパスのバリエーションが身に付く
→パスではなくドリブルやシュートの選択が増えることでパス以外の技術が高まる
◇実践例(KTラボ運動教室)
床に落ちない鬼ごっこ

「危ないから片付けてから遊びなさい」と言うのか
運動能力が高まると考えるか。

制約主導アプローチでは、自身が制約に適合する運動を自由に探索できるということが最大のメリットです。これにより、スポーツシーンでのシチュエーションにあった動きを選択することができるようになります。

このようにして学習したスキルは、実際の試合でも発揮されやすいことは言うまでもありません。

いくら綺麗なフォームでも、実戦で使えなかったら意味がありません。

伝統的アプローチで身に付けた技術のデメリットが、まさにそれ。実践の場で再現できないことが多いんです。そして、そもそも身に付くバリエーションが極端に少ないのです。
*良い環境で綺麗なフォームや限定された動きをマスターしていくことがほとんどだから

でも、メリットもあります。

それは、短時間で修正できて、時に良い変化を生むことです。

反復練習でうまくなった選手に降りかかる怖い話

*ここからは、本とは関係ありません

みなさんは、スランプに陥ったことはありますか?

スポーツ経験者の多くが、「今思うとあれはスランプだった」というようなことが1度や2度はあるのではないでしょうか。

では、『イップス』という言葉を聞いたことはありますか?

イップス (yips) は、主にスポーツの動作に支障をきたし、突如自分の思い通りのプレー(動き)ができなくなる症状のことである。野球やゴルフ、テニス、ダーツなどのスポーツに多く見られる。学術的には局所性ジストニア職業性ジストニア)と同義で考えられ、神経疾患に分類されている。脳の構造変化が原因といわれ、同じ動作を過剰に繰り返すことによって発症し得ることが明らかになっている[1]
Wikipediaより引用

元々はゴルフ用語で、今まで問題なくパッティングをしていたゴルファーがある日突然パットが入らなくなり、しかもそれがカップのはるか手前で止まったり、反対にカップをはるかにオーバーするものしか打てなくなってしまう症状にイップスと命名したのが始まりなんだそうです。

パターを握ると手が震えて打てなくなるというアレです。

野球選手にも多いようで、イチロー選手が高校時代にイップスを発症し、プロになっても数年間苦しんでいたという話は有名です。

NBA選手なら絶対入る(入る確率が高い)といわれているフリースローやレイアップシュートの場面でイップスの症状に悩まされる人も多いようです。

スポーツ選手だけでなく、楽器の演奏者にも同様の症状が出たり、アナウンサーの場合は発声障害という形であらわれることも多いようです。

イップスは医学的根拠はないものの、一般的には心理的要因が大きいのでは?と考えられているそうで、具体的には以下のようなショックがあげられるようです。

  • 大事な場面でシュートを外し、責められた・怒られた(サッカーのPKやバスケのフリースローなど)
  • 勝負の決まる場面でパットを外してしまった(ゴルフ)
  • 死球を当て、怪我をさせてしまった(野球)

断言はできませんが、伝統的アプローチによる学習の行く末がこれだとしたら、悲しすぎます。
*プロで活躍するストリートサッカーやストリートバスケ出身の選手もイップスの症状に悩まされているのか気になるところ

まとめ

人に何かを教える人も教わる人も、みんな『エコロジカル・アプローチ』を読んで勉強しよう。できるだけ、伝統的アプローチよりも制約主導アプローチで学習しよう。

目的を達成するために大事なことは何か考えよう!

苦しんで習得するのは辞めにしよう。スポーツは本来楽しいものだ!!

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