とあるサッカーチームのコーチと話したときのこと。
W-upのメニューは、毎回ほぼ一緒と。
特に、ラダートレーニングに関しては、どれだけ速く正確にできるかに注視していると。
ハッキリ言ってしまえば、この意識でトレーニングを繰り返してもサッカーは思ったほどは上手くなりません。
今回は、コオーディネーショントレーニングの1つとしてラダートレーニングを取り入れる際の注意点をお話していきます。
目的は?
なぜラダートレーニングを取り入れているのですか?
まずはここから。
俊敏性や敏捷性を高めるため?
リズム感を良くするため?
なんとなく練習している感じがするから?
楽しいから?
サッカーが上手くなるため?
俊敏性や敏捷性を高めるためにラダーを取り入れているのであれば、ある程度ドリル化して一生懸命練習しても良いのかもしれません。
しかし、先ほどのコーチは「コーディネーショントレーニングになるから」と言っていました。
コオーディネーショントレーニングとしてラダーを取り入れるのであれば、俊敏性や敏捷性に重点を置き、ドリル化するのは間違いです。
SAQとコオーディネーショントレーニング
SAQ
サッカーをしている人なら、SAQトレーニングという言葉を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
SAQトレーニングという名称は、スピード、アジリティ、クイックネスの頭文字(下記参照)に由来します。
- S=スピード (重心移動の速さ)
- A=アジリティ (運動時に身体をコントロールする能力)
- Q=クイックネス (刺激に反応し速く動きだす能力)
日本SAQ協会HPより引用
このSAQとコオーディネーショントレーニングを混同している人が多いような気がします。
speedは日本語で速さ。そのまんま、スピード。
agilityは機敏さ。スポーツ科学では、刺激に応じた速度または方向の変化を伴う急速の全身運動と定義され、敏捷性とも言います。
quicknessは素早さ。体重移動を重視した素早さで、俊敏性とも言います。
コオーディネーション
コオーディネーショントレーニングのコオーディネーションは、コオーディネーション能力のことで、運動能力を分類したものです。
*SAQのspeedとは異なります
スポーツが上手くなるために
速く正確に!を追求するのなら、SAQトレーニングが最適かもしれません。
しかし、コオーディネーショントレーニングの概念とは大きく異なります。
*広義の意味ではSAQトレーニングもコオーディネーショントレーニングの1つだよ
スポーツ上達、サッカーが上手くなることが目的のコオーディネーショントレーニングなら、8つのコオーディネーション能力を満遍なく高める必要があるからです。
コオーディネーショントレーニングとしてラダーを取り入れるなら、
定位能力を意識したラダートレーニング
反応能力に特化したラダートレーニング
バランス能力を重視したラダートレーニング
など、どの能力を高めるために取り入れているかが明確である必要があります。
何となくラダーを取り入れればサッカーが上手くなるような気がするかもしれませんが、何となく上手くなったような気しかしないでしょう。
ドリル化について
漢字ドリルや算数ドリルで馴染み深い「dorill(ドリル)」とは、日本語にすると訓練や修練という意味です。
コオーディネーショントレーニングとしてのラダートレーニングをドリル化してはいけない理由は簡単です。
漢字ドリルをコンプリートしたからといって東大に入れるわけではないように、ラダーのその種目が上手くなったからといってサッカーが・スポーツが上手くなるわけではないからです。
*ラダーのそれたけはメチャクチャ上手くなるかもしれないけれど
コオーディネーショントレーニングとしては、1つ1つの種目はそこそこできればOKです。1つに固執して速さや正確性を向上させるのではなく、幅を広げ、より大きく頑丈な土台を築いていきましょう。
その先に、上手さや勝利がついてきます。
*コオーディネーショントレーニングにドリル化はそもそも不適切なのです
おしまい。
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